パイプレンチ
●パイプレンチの仕組と特長〔使いみち〕
●パイプレンチはその名前の通り、パイプを回すためのレンチです。主に水道管、ガス管などに継手をねじ込んだり、はずしたりする、配管工事に使われる工具です。
●パイプは丸いものですから、スパナやモンキレンチでは、ひっかかるところがなく、回すことができません。色々な方法で締付けて回すことも考えられますが、パイプを変形させずに回すには、特別な工夫が必要となります。 そこで、植え歯と上あごの歯が、本体の先端に力を加えることによってパイプに食い込み、ひっかかることになって丸いパイプでも回すことができるのです。
〔寸法種類〕
●パイプレンチの呼び寸法は、くわえられる最大のパイプをくわえた時の全長で呼びます。150mmから1200mmまでの、9種類が市販されていますが、JISでは200mmから1200mmまでの8種類が規格化されています。呼び寸法と、くわえることのできるパイプの外径との関係を表1に示します。
〔型式・等級〕
●パイプレンチの型式には、トライモ型(写真1)、リッヂ型写真2)、スチルソン型(写真3)の3種類があります。 国内ではトライモ型が主流で、一部リッヂ型が市販されていますが、スチルソン型はほとんど見かけません。いずれの型のパイプレンチも、強力級と普通級に区分されていて、強力級にはH、普通級にはN、の記号が本体の最も見やすいところに明示されています。
●強力級と普通級に区分するために、JISでは荷重試験方法を定めています。その試験方法は図4に示すように表2の丸棒をくわえ、本体の他の端に荷重を加えて表2のモーメントを与えた時、各部に異常があってはならないとし、メーカーでは規格通りの荷重試験によって区分しています。
〔使われている材料〕
●上あご及び植え歯の材料は、原則として、強力級はクロムモリブデン鋼、普通級は機械構造用炭素鋼が使われています。これも、メーカーによって多少のちがいはありますが、強力級では本体は機械構造用炭素鋼を使い、普通級はダクタイル鋳鉄を使っているのが一般的です。ただし、リッヂ型については、本体にダクタイル鋳鉄や、黒心可鍛鋳鉄を使っていますが強力級のものが多くなっています。 上あご、植え歯の歯部の硬さは、ロックウェルCスケールで50以上に熱処理されています。
(参 考)
●チェントング
・これは、鎖パイプレンチともいわれ、主に太いパイプの締付け、またはパイプ押えに用いる工具です。(写真4)チェンをパイプに少しゆるめに巻付け、チェンの両側に突出たピンを、本体のみぞ部にかけて、チェンがパイプに巻付く方向に本体を回せば、本体の歯がパイプにひっかかり、パイプを保持したり、回すことができます。また、丸いパイプだけでなく、四角や六角などいろいろな形状のものにも使えます。
●コーナーレンチ
・これは、従来のパイプレンチとモンキレンチを組合わせた、まったく新しい形をしたパイプレンチで、壁・床に埋込み配管をしたり、地中に埋設配管をする時などに、コンクリートを大きく割ったり、大きなみぞを掘らなくても作業ができるという、狭い場所で能率よく使える工具です。(写真5)使い方の注意はパイプレンチと、まったく同じです。
| (表-1) | |||||||||
| 呼び寸法(mm) | 200 | 250 | 300 | 350 | 450 | 600 | 900 | 1200 | |
| くわえられる 管の外経 |
mm | 6~20 | 6~26 | 10~32 | 13~38 | 26~52 | 38~65 | 50~95 | 65~140 |
| IN | 1/4~3/4 | 1/4~1 | 3/8~1 1/4 | 1/2~1 1/2 | 1~2 | 1 1/2~ 2 1/2 | 2~3 1/2 | 2 1/2~5 1/2 | |
| (表-2) | |||||||||
| 呼び寸法(mm) | 200 | 250 | 300 | 350 | 450 | 600 | 900 | 1200 | |
| 丸棒の直経(mm) | 16 | 20 | 25 | 30 | 40 | 52 | 75 | 100 | |
| モーメント (kgf・m) |
強力級 | 23 | 42 | 65 | 85 | 130 | 185 | 285 | 380 |
| 普通級 | 18 | 33 | 45 | 60 | 90 | 135 | 215 | 300 | |
●パイプレンチの種類

●パイプレンチの使い方
〔使い方の注意〕
・パイプレンチの本体と上あごは、ガタガタに作られています。これは作り方がまずくて、ガタガタになったということではありません。このガタは、丸いパイプにパイプレンチをひっかけて回すためには、どうしても必要な意味のあるものなのです。上あご、植え歯は口の内側になる部分に、横じまの歯がついていて、(図-1)に示すように、使うパイプの太さに丸ナットを指で回しパイプに合わせます。その時、首下に弱いバネが入っていますので、フレームまたは上あごを少しくちが開く方向に押しながらパイプをはさみますと、上あごと植え歯の歯がパイプによくひっかかります。またパイプレンチを外す場合は、少し上あごをくちが開く方向に押せば簡単に外れます(図-3)このような理屈からパイプイレンチを(図-2)の→の方向に力を加えますと、上あご、植え歯の歯がパイプにひっかかり、反対に回すと外れますので、ラチェットと同じ操作ができるのです。
・使用についての注意として、呼び寸法とくわえられるパイプの外径との関係が示してあります(表1)。この表範囲で、図4のように正しくパイプをはさんで下さい。表の範囲を超えた大きなパイプをはさんだり(図-5)、(図-6)のように本体にパイプを差込み、本体ハンドル部を長くして、表2に示すモーメント以上の荷重をかけたりしないでください。(図-7)に示すようにパイプレンチを横に使うのも禁物です。
・上あご、植え歯の歯の谷に、よく液状シール材が付着しそのままの状態で固まりますと、パイプにひっかからなくなる時がありますので、そのような時はワイヤブラシなどで掃除をして下さい。




