モンキレンチ
●モンキレンチの仕組と特徴
〔使いみち〕
●モンキレンチとは、ボルト・ナットの締付けや、取外す時に使われる工具です。口の開閉を自由に変え、ボルト・ナットに合わせて使えます。これは図1を見るとわかりますように、本体の窓の所に組込まれている特殊ねじ(ウォームという)に、下あごがかみ合って動くものです。下あごには、ラックといって、ちょうど歯車(ギア)を平らに延ばした形に歯が切ってあり、この仕組みを、ウォームとラックのかみ合わせといいます。モンキレンチは、このウォームとラックのかみ合わせで、口の開閉を調節し、ボルト・ナットに合わせて使えるため、非常に広汎に使用されています。
●モンキレンチの形は、柄に対する口の傾き角度が15度のものと、23度のものがあります。また材料と作り方の違いで、全鍛造品(オールドロップ)と、値段の安い部分鍛造品(ハンドロップ)の2種類に分けられます。このうち全鍛造品は、普通級(N級)と強力級(H級)に分け られてしますので、品質の上からは3段階になるわけです。 これらは使う所と、使う目的によって一番適したものを選ぶ 必要があります。
〔寸法・種類〕
●モンキレンチの寸法は、全体の長さで呼びます。しかし実際の長さは、呼び寸法より少し長くできています。その関係を表 にしたものが下の表1です。大きさは8種類となっています。
●あごの厚さは大体きまっていますが、強い材料を使って厚さ を薄くした,薄口モンキレンチもあります。これは狭い所などに使いやすく、性能は一般の規格品と変わりなく作ってあります。
●モンキレンチは、口の開閉が調節できるようになっていますから、この寸法より小さいボルトの頭やナットでも全部使えます。しかし、大きなモンキレンチで、小さいボルトの頭やナッ トを回しますと、力のバランスが崩れて、ボルトがねじ切れた りすることがあります。
そこで、ボルト・ナットの大きさに合わせてモンキレンチが選べるように、標準が決められています。いっぱいに開いた口の寸法と併せて表にしたのが表2です。
●ただしこのボルト・ナットは、普通六角ボルトの場合ですから、小形六角ボルト、小形六角ナットなどの場合には当てはまりません。またアメリカなどの外国規格のものも、当てはまりませんので、ご注意ください。
| (表-1) | ||||||||
| 呼び寸法 | 100 | 150 | 200 | 250 | 300 | 375 | 450 | 600 |
| 全長 | 110 | 160 | 210 | 260 | 310 | 385 | 460 | 610 |
| (表-2) | ||
| モンキレンチの寸法 (mm) |
アゴをいっぱいに開 いたときの寸法(mm) |
回すボルトナットの 呼び寸法(mm)の最大 |
| 100 | 13 | (8) |
| 150 | 20 | (12) |
| 200 | 24 | (16) |
| 250 | 29 | (18) |
| 300 | 34 | (22) |
| 375 | 44 | (27) |
| 450 | 55 | (36) |
| 600 | 65 | (42) |
〔使われている材料]
●全鍛造品の強力級(H級)と普通級(N級)は、本体・下あごともに、機械構造用炭素鋼またはそれ以上のものが使われ、熱 処理(焼入れ・焼戻し)が施されています。その硬さは、本体・下あごが約HRC43、ウォーム、ピンが約HRC 40です。部分鍛造品(P級)は、本体は可鍛鋳鉄が使われ、下あごは機械構造用炭素鋼が使われています。その硬さについては、特に決められていません。
〔選ぶ時の注意〕
●JISマークのついた品は、品質性能によって、次のようなマークがついています。H・・・強力級、N・・・普通級、P・・・部分鍛造品。また、口の角度が15度のものと、23度のものがあることは使いみちのところで説明しましたが、使う場所・使い方によって品物を選んでください。
●モンキレンチは、1丁で、スパナ何丁分かの働きをしおますので、家庭用としても便利な工具です。お求めのときは、JIS(日本工業規格)マークの付いたものを選ぶことが無難です。
●モンキレンチの使い方
〔使い方の注意〕
●モンキレンチを使う時は、まず用途に最適なものを、強力級(H級)・普通級(N級)・部品鍛造品(P級)の中から選び、寸法・種類の所でふれましたように、回すボルト・ナットに合った寸法のものを使うことが大切です。これによって作業能力の向上はもとより、身の安全も確保されます。
●使う時には、まず柄をしっかりと握ること。また油手では握らないこと(油で手が滑りやすい)。さらに回す時には、必ず下あごの方向に引いて下さい。(図2参照)逆の方向に回しますと下あごに力がかかりますので、ラックとウォームのかみ合いの部分に無理な力がかかって、壊れる原因になります。また、無理な力で作業をしても、ラックとウォームのかみ合い具合が悪くなって、壊れてしまいます。例えばモンキレンチの柄に,長いパイプを差込んで,無理な力をかけて回すことなどをしてはいけません。(図3参照)モンキレンチはの柄の長さは,回す力に合うように作られているからです。
モンキレンチを使う時には、回すボルトの頭まはたナットの側面へ、モンキレンチのアゴの面がぴったりとつくまでウォームを締めて下さい。いいかげんに締めて、ボルトの頭またはナットとモンキレンチの間にすきまができますと、回すために力を入れた時に、モンキレンチが外れて怪我をすることがあります。また外れなくても、下あごに大変な力がかかって、ウォームとラックの調節が壊れてしまいます(図1参照)この他、ボルトの頭やナットの六角部の角を、丸くつぶしてしまうこともあります。角がつぶれたボルト・ナットを回す時にも、モンキレンチが外れることが多いので注意してください。
ボルト・ナットを回す時には、必ずモンキレンチをボルト・ナットに直角の形で、平行に回して下さい。(図4参照)この時、ボルト・ナットを心もち押し付けるようにして回すと、外れることがありません。逆に、わきの方へ力を入れたり、またボルト・ナットにモンキレンチが直角に当たっていなかったり、柄のはしの方が極端に上がった形で力を入れて回したりしますと、必ずすべったり、外れたりします。外れない場合でも、モンキレンチが壊れやすくなりますから、注意して下さい。
●固く締まったボルト・ナットをゆるめる時は、ボルトの頭やナットを軽く叩いて、油を差せば回るようになりますが、こんな時には、ついモンキレンチをハンマーがわりに使いやすいものですが、面倒でも必ずハンマーを使うことです。モンキレンチを金づちや、ハンマーがわりに使うことは止めて下さい。



