手動式トルクレンチ

●手動式トルクレンチの仕組と特長

〔使いみち〕

・機械や構造物で、2つ以上の部品を組合せるためにねじが使われる場合、小ねじ、止めねじ、ボルト・ナットは、締付けを前提にしています。このねじの呼び径には、大小がありますが、これは、要求される締付け強さの大小に応ずるためです。逆にいえば、ねじの大小に応じた締付け力(締付けトルク)が必要だということです。一般に、ボルト・ナットを締付ける時に、果たしてそのボルト・ナットに適応したかどうか、あるいは設計上の締付けトルクに締付けられたかどうかが問題となります。ところが普通は、スパナやレンチが用いられ、使う人の経験やカンによって仕事が行われています。例えば、空調設備でのガス管の締結は、規定トルクで締付けないとガスもれの要員になりますし、また鉄骨建築に使われるボルト・ナットの締結過多や不足は、大きなトラブルの要因となります。このトルクレンチは、こうした、ボルト・ナットを締付ける時、その締付けトルクを希望する数値にできるようになっていますので、そういった問題を解決してくれます。

・このトルクレンチの利点は、誰でも安心して組付け作業ができるところにあり、極めて能率的な工具です。

〔寸法種類〕

・JISでは、トルクレンチを4種類規定しています。それは希望する締付けトルクを判断する機構が、それぞれ異なるためです。

・空気や電気の動力を利用するものに対応して”手動式トルクレンチ”としています。

・プレート形
アームがばねになっていて、レンチに力をかけると、このアームがたわんで指針が目盛を指すようになっています。この目盛が、締付けトルクなのです。ここでは使用できるトルク範囲の最大値を、そのトルクレンチの”呼び”としています。例えば使用できる範囲が30~230kgf・mmのものの呼びは230です。呼びは、230~10000の11種類あります。

・ダイヤル形
締付けトルクを、ダイヤル目盛で読むようにしたものです。呼びは230~10000とプレート形と同じですが、10種類となっています。なおダイヤル形だけに、普通級と精密級の等級があります。

・プレセット形
希望値をあらかじめセットしておいて、トルクがその値に達した時に、音または手ごたえでわかるようにしたものです。この形では”調節できる範囲”の最大値が呼びとなっていて、60~8500の11種類あります。

・単能形
ある値にだけ使うようにしたもので、文字通りある一定値しか使わないものです。呼びは10~36の25種類ありますが、この呼びはボルト・ナットの二面幅寸法で、トルク値は、ねじに応じて規定されます。

〔使い方の注意〕

・プレート形は、比較的簡単な機構ですが、無負荷(使用しない状態)で指針が0の位置にあるかどうかの確認が必要です。

・ダイヤル形は機構が複雑で、角ドライブと同軸のバネのねじりをダイヤル機構に示すもので、目盛が作業者の姿勢や位置によって読取りにくい場合があります。ダイヤルは特に敏感ですから、取り扱いはていねいにしなければなりません。

・プレセット形は、コイルバネの押す力を強くしたり弱くしたりできるようになっています。握りを回すことによって、希望するトルク値を一定範囲内で自由に選べますが、調節は静かに行わねばなりません。単能形は、このコイルバネを固定したものです。

・トルクレンチは、力を加える(握る)位置によって作業性がちがいます。同じバネの状態で作動するにしても、この力の加わる遠近によって、その力の大小がちがうことは、テコの原理の通りです。ですから、トルクレンチを正しく働かせるためには、ハンドルの握り部の中央を握ることです。

・トルクレンチは作業工具ですが、一般の作業工具とは異なって、測定器なのですから、器具を常に点検・手入れすることが大切です。一般にその精度は、常温で各形とも器差±3%以内(ダイヤル・精密級は±1%)に調整されています。不用意に分解したり、良くない環境(水の中、多湿・高低温、多塵埃など)で、使用することは禁物です。取り扱いや、操作を慎重に行うことが肝要です。

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