ねじ回し

●ねじ回しの仕組と特長

〔使いみちと呼び方〕

・小ねじや木ねじを、締付けたり取外したりする工具で、使う目的によって、いろいろな形があります。呼び方は、ねじ回しの他、スクリュードライバー、あるいはただ、ドライバと呼ぶこともあります。

・その作り方で、大きく普通形と貫通形の2つに分けることができます。貫通形は、本体(金属の部分・軸)が握り部(柄の部分)の中心を通っていて、握り部の尻に座金がはめ込んであります(図1)

・また使われ方により、十文字形と一文字形に分けられます。締めたり、ゆるめたりする相手のねじが十字ねじの場合は、十字ねじ回しを使います。この十字ねじというのは、ねじの頭の部分のみぞが十字形に切ってあるもので、最近は電車や自動車あるいは家庭にある電気器具などに多く使われています。切ってあるみぞの形から、このねじを+(プラス)ねじ、そのねじ回しを、プラスねじ回しなどと呼ぶこともあります。またその対称から、普通の一文字にみぞの切ってあるねじを-(マイナス)ねじ、そのねじ回しをマイナスねじ回しということがあります。

〔種類と寸法〕

・マイナスねじ回しは、品質によって普通級(N級)と強力級(H級)に分かれます。寸法は主として、柄のつけ根から先端までの長さで呼びます。また、それに先端部の幅を組合せて呼ぶこともあります。この長さと幅は規格で決まっていますので、締めるねじによく合うものを選ぶことが大切です。長さと幅の関係は次の表の通りとなっています。

単位:mm
本体の長さ 50 75 100 125 150 200 250 300
先端刃部の幅 4.5 5.5 6 7 8 9 10 10

例えば、100mmのねじ回しといえば、先端部の幅が6mmのものとなります。ただ使いみちによって、本体の長さを普通より長くしたもの、あるいは普通より短くしたものなどがあります。それを間違えないように、長さだけでなく、先端部の幅を組合せた呼び方があるわけです。

〔例〕4.5*50mmのねじ回し、6*100mmのねじ回しなど。

・さらに、先端の幅を厚さの関係も決まっています。これはねじのみぞがJISで決まっていますので、その幅に合うようになっているのです。その関係は次の表の通りです。

単位:mm
先端の幅 4.5 5.5 6 7 8 9 10
その厚さ 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2

どの大きさのねじ回しが、どのねじに合うかは、ねじの規格(JIS)を調べて、自分で一覧表を作ってみてください。

・十字ねじ回しは、大きさを番号で呼び、1番から4番まであります。これは1番から4番までの十字ねじ回しがあれば、どんな十字ねじの溝にも合うようになっています。呼び番号とねじ回しの大きさの関係は、次の表の通りです。

呼び番号 1番 2番 3番 4番
ねじ回し本体の長さ 75 100 150 200mm

十字ねじ回し本体の長さとは、普通のねじ回しと同様に柄のつけ根から先端までの長さです。十字ねじ回しの大きさと、締付ける十字ねじとの関係は次の表の通りです。

十字ねじ回し番号 小ねじ(呼び径)
1番 2.9mm以下
2番 3~5mmまで
3番 5.5~7mmまで
4番 7.5mm以上


・JIS規格では、これら1番から4番までのものをH形(フィリップス系の意味)と称し、この他に0番に相当するS形(スペッシャルの意味)が規定されています。このS形は写真機、眼鏡その他精密機器の呼び径2mm以下の小ねじに適用されます。なお欧米ではこれらH形、S形以外にZ形(ポジドライブ系の意味)も使用されています。

・この十字ねじ回しは、使っている時に、みぞから外れることが少ないことと、普通ねじに比べて、十字ねじの方が見た目にきれいなので、これからはますます多く使われるようになるでしょう。

〔使われている材料〕

・本体は硬鋼線材(カーボン0.45~0.65%)で、十字ねじ回しの強力級は、合金工具やその他の合金鋼が使われています。合金鋼は鋼に、クローム・バナジュームなどの合金を相当量加えて、磨耗や衝撃に強い性質を持たせた鋼です。先端部は熱処理(焼入れ・焼戻し)がしてあり、その硬さはロックウェルCスケールの52が標準となっています。先端を、ねじと同じみぞがある試験棒に差込み、握り部の柄に、ある決まった力をかけて、ねじが欠けたり、ねじれたりしないか等の試験をしています。(表1)

・握り部は木製ですが、最近は見た目にもきれいな樹脂柄が普及してきています。

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(表-1) ねじ回しの呼び寸法とねじり強さ
呼び寸法(mm) 4.5 x 50 5.5 x 75 6 x 100 7 x 125 8 x 150 9 x 200 10 x 250 10 x 300
ねじりモーメントkgf・cm 普通級 25 45 55 65 85 95 110 110
強力級 35 55 75 100 125 165 200 200

(参 考)
●選ぶ時の注意

・ねじ回しは、JISマークのついている品物が出ていますから、これを選べば間違いありません。われ、きず、さびなどがある品はもちろんいけませんが、外観上では品物の良し悪しはあまりわかりません。JISマークが打たれていない特殊なねじ回しの場合は、信用のある店に相談して選ぶことが必要です。

●その他のねじ回し

ラチェット付ドライバ

・このねじ回しは、本体の根もとにラチェットという仕掛けが付いていて、右・左・固定の3通りに使える便利なものです。ラチェットの切替を中央にしますと、本体と握り部が固定しますので、普通のドライバとして使うことができます。切替えを右に合わせると、右に回した時だけねじ回しが効いて、左へ回すとから回りになります。ですからねじを締めこむ時に、握り部をいちいち持ちかえる必要がなく、右回しでねじを締めて、握った手をそのまま左へから回しさせ、また右に回してねじを締めることができます。ねじ回しを握ったまま、手を右に左に往復するだけでよいわけです。(写真2)切替えを左にすれば、右回しの時と逆に、右に回すとから回りになりますので、ねじをゆるめる時につかえます。このように、このねじ回しは手を放さずに作業できますので、仕事のやりにくい天井などの場所で使うと、大変便利で能率も上がります。また、ラチェットの前に付いている、始動送りつまみを指先で回せば、ねじの仮締めが行えるようになっています。

絶縁ドライバ

・握り部と本体がプラスチックで絶縁されています。このねじ回しは、ショート事故や感電事故などの防止のために作られたもので、電気関係の仕事にも安心して使えるようにしてあります。それぞれ何ボルトの電圧に耐えられるかが、表示されています(写真1)

電工ドライバ

・電気工事などに使うねじ回しで、握り部が丸く大きくなっています。これは握って回す時、力が入るようにするためです。刃先部も普通のねじ回しより、厚く大きくなっていて、全体に丈夫で、荒い仕事にも耐えるられるような作りになっています。また握り部のみぞは曲がった電線を伸ばしたりするのに使われます。(写真3)

検電ドライバ

・電灯線やラジオなどの電気を調べる装置のねじ回しで、低圧用(250ボルト程度まで)、高圧用(15,000ボルト程度まで)の2種類があります。電気が流れていれば、ねじ回 しの中のネオン管がつく仕掛けになっています。(写真4)低圧用の場合、検電のさいにドライバの柄部末端にあるねじを親指で押え、刃先を+線に接触させれば、柄の内部のネオン管が発光し、電気が通じていることがわかります。

オートマチックドライバ

・これは自動ねじ回しということですが、送りつきねじ回しとも呼びます。軸のまわりに、らせん状のみぞ(スパイラルみぞといいます)が付いています。刃先をねじの頭にはめこんで、握り柄を押しつけるだけで刃先が回って、ねじを締めることができます。(写真5)ラチェット付きドライバと同じように、右・左・固定の3通りに切替えることができますから、押しつけた握り柄が戻る時は、刃先はから回りになっているわけです。軸に組み込まれた駒と、スパイラルみぞがかんで回りますので、回り方も早く能率的です。刃先はねじに合わせた大きさのものを、差換えて使うようになています。

差換えドライバ

・これは握り部と刃先が別になっていて、握り部の先のチャックへ、使おうとする大きさの刃先を差込んで使うものです。差替軸が4~8本ぐらい付いていて、その中には十字ねじ回しの刃先も入っていますので、ちょっとしたネジ締めや、持歩きなどには便利なものです。(写真6)

精密ドライバ

・時計やめがねなどによく使われている、小さい径のねじに用いるドライバです。複雑な個所にも使えるように、本体は細くなっています。また、握り部の末端が凹形や凸形なっていて指先で押しつけて使用することができます。(写真7)

ビスキャッチ・ドライバ

・刃先の爪でビスをつかみますので、指の届かぬ個所に便利な商品です。(写真8)

フレキシブル・ドライバ

・本体がばねになっていて、自由自在に曲がるようになっています。本体を曲げたままで使用できますので、いろいろな所に使用できます。(写真9)

ソケットドライバ

・六角ボルト・ナットを回す時に使うものです(写真10)(表2参照)。また狭い場所で使えるよう、柄も本体も思い切って短くしたスタビードライバ(写真 11)、その他本体が角形になっていて、スパナなどをかけて強い締め付けができる角軸ドライバ(写真12)など、たくさんの種類があります。

●ネジ回し使い方

〔使い方の注意〕

・ねじ回しは、ねじのみぞによく合った寸法のものを使うことが最も大切です。ねじのみぞに合うものを選ばないと、ねじのみぞが壊れてしまって、締めにくくなると同時に、抜きにくくなります。さらにこれが一番危険なことなのですが、力を入れている時に、ねじ回しがねじのみぞから外れやすく、思わぬけがをするもとになります(図2)ねじ回しを使う時、ねじとねじ回しは、からなずまっすぐになっていて、ねじ回しにかかる手の力も、このねじ回しにまっすぐ、平均にかけるようにして下さい。(図3)そうでないと、ねじ回しが外れて、ねじみぞを壊してしまうか、ねじを取付ける材料に傷をつけてしまいます。また手に思わぬ傷を負うこともありますので、よく気をつけて下さい。

・手で握れるような材料に対して、ねじを締める時、よく片手に材料を持って、片手でねじ回しを使うことがありますが、これは大変危険ですので、絶対やめて下さい。(図4)例えば、電気のテーブルタップ(卓上ソケット)のねじなどを、片手でその材料を持ち、片手でねじ回しを使う時、ねじ回しにかかる力と、材料のねじとがまっすぐにならないため不安定となり、ねじ回しが外れやすく、思わぬけがをする場合があるからです。

・木に木ねじを締付ける時は、はじめ、木ねじをハンマで叩いてまっすぐに立てておき、その木ねじに左手を軽くそえ、右手でねじ回しの握り部を持って、平らに回すようにしてねじこんでいきます。木ねじは平らに回すことによって、ねじ込まれて行きますので、あまり木ねじに力を入れて押しつけると木ねじは倒れてしまいます。固い木にねじこむ時や、大きい木ねじをねじこむ時はさきに穴をあけておくとよいのですが、軟らかい木の場合は、穴をあけておくと木ねじが馬鹿になって、効かない場合がありますので、気を付けて下さい。

・長いねじ回しを使う場合に、左手を軽く本体の軸にふれておきますと、ねじ回しをまっすぐに回す状態になって、ねじ回しが安定し、作業がやりやすくなります。ねじ回しをたがねのかわりにして、ハンマーで叩いたり、またものをこじったりするのは、ねじ回しを悪くして、あとで事故を起こすもとになりますから、絶対にやらないようにしましょう。